厚生年金基金制度 廃止 改正案 AIJ投資顧問 年金消失問題
厚生労働省は27日、AIJ投資顧問(東京)による年金消失問題を受け、企業年金の一つである厚生年金基金制度を廃止する方針を固めた。厚労省が28日に開く厚年基金の特別対策本部会合で、本部長の辻泰弘副大臣が、将来的に廃止する方向で制度改革を進めるよう指示する見通しだ。年内に改革案をまとめ、来年の通常国会に厚生年金保険法の改正案を提出することを目指す。
廃止の時期は、積み立て不足の問題の解決や他の企業年金制度への移行準備などが必要なため、10年程度、先になるとみられる。同省は、加入者自らが運用を行う「確定拠出年金」などへの移行を促す方針。ただ、巨額の積み立て不足を抱える財政難の厚年基金の中には、解散を余儀なくされるところも出てきそうだ。
改革案には、財政難の基金への対策として、基金の解散時に国に返還しなければならない積立金の減額を盛り込む見通し。複数の企業が加入する基金について、解散時の国への積立金返還に関し連帯責任を負う仕組みもなくす方向だ。
厚年基金制度は、企業年金だけでなく、公的年金である厚生年金の一部も国に代わって運用するのが特徴。高金利や株高の時代は収益を伸ばしたが、超低金利や株価低迷の長期化で財政が悪化する基金が相次いだ。
同省によると、約570ある厚年基金の半数で、企業年金部分の積立金が底を突くとともに、代行部分も積み立て不足となる「代行割れ」に陥っている。運用環境の改善が見込めない中、投資の失敗などによる「さらなる財政悪化を防ぐ」(幹部)ため、制度廃止はやむを得ないと判断した。
厚年基金制度の存廃をめぐっては、民主党が「将来的な廃止」を掲げる一方、自民党は存続容認の立場だ。存続を求める厚年基金や自民党の反発は必至だ。